細切れ睡眠でも心身を整える育児中の回復術
二人目以降のお子様の育児に奮闘されているお母様方、日々お疲れ様でございます。上の子の学校や習い事の対応、下のお子様の夜泣きや授乳。途切れることのない日々に、ご自身の睡眠は後回しになりがちではないでしょうか。特に細切れになりがちな夜間の睡眠では、十分な休息が得られず、慢性的な疲労が蓄積していると感じる方も少なくないことと存じます。
一人目の育児経験があるとはいえ、家族構成やご自身の体力の変化により、以前と同じようにはいかないことも多いかもしれません。本稿では、そのような多忙な状況下でも、限られた細切れの睡眠時間の中でいかに心身の回復力を最大化するか、具体的な視点からご紹介いたします。
なぜ細切れ睡眠では心身が休まらないのか
睡眠には、心身の疲労回復に深く関わる「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という2つの状態があります。特に深いノンレム睡眠は、脳の休息や成長ホルモンの分泌に重要であり、この深い睡眠が不足すると、たとえ合計の睡眠時間が確保できていても、疲労感が残りがちになります。
育児中の細切れ睡眠では、深い睡眠に到達する前に覚醒してしまうことが多く、睡眠サイクルが十分に機能しないため、身体的な疲労だけでなく、精神的なストレスも蓄積しやすくなります。この状況を理解することが、効率的な回復策を考える第一歩となります。
回復力を最大化する実践的アプローチ
細切れの睡眠でも心身の回復力を高めるためには、短い時間でも質の高い休息を得る工夫と、日中の疲労を蓄積させないための対策、そして周囲の協力が不可欠です。
1. 質の良い「短い睡眠」を確保するための環境と準備
細切れの睡眠であっても、その質を少しでも高めるための工夫は可能です。
- 寝室環境の最適化:
- 光: 遮光カーテンで部屋を暗く保ち、就寝前には間接照明や暖色系の光に切り替えるなど、光の刺激を最小限に抑えましょう。
- 音: 小さな物音で目が覚めやすい場合は、ホワイトノイズマシンや耳栓の利用も検討できます。ただし、お子様の声に気づける範囲での使用が前提です。
- 温度・湿度: 快適な室温(18〜22℃程度)と湿度(50〜60%)を保ちましょう。
- 短時間で実践できる就寝前ルーティン:
- お子様を寝かしつけた後、すぐに布団に入るのではなく、軽くストレッチをする、温かい飲み物を飲む、好きな香りのアロマを焚くなど、5分でも10分でもご自身を労わる時間を作りましょう。これにより、心身をリラックス状態へ導きやすくなります。
- 上の子がいる状況での工夫:
- 上の子がある程度の年齢であれば、寝室を分け、下のお子様とのお部屋にパートナーと交代で就寝するなどの工夫も考えられます。上の子には「ママもパパも休憩する時間だよ」と伝え、安心できる環境を整えましょう。
2. 日中の疲労を蓄積させない工夫
夜間の睡眠が不十分でも、日中の過ごし方次第で疲労感を軽減できます。
- 積極的な仮眠の活用:
- 上の子が幼稚園や学校に行っている時間、または下のお子様がお昼寝している時間など、少しでも時間が取れたら15〜20分程度の短い仮眠を取りましょう。この短い仮眠でも、脳の疲労回復に効果があると言われています。深い眠りに入る前に目覚めることで、寝起きの不快感を避けられます。
- 短時間のリフレッシュ法:
- 上の子との遊びの合間や、家事の休憩中などに、数分間の簡単なストレッチ、深呼吸、座って瞑想するなど、心身を緩める時間を取り入れましょう。窓を開けて外の空気を吸うだけでも、気分転換になります。
- 栄養バランスの取れた食事:
- 疲労回復には、ビタミンやミネラルが豊富な食事が不可欠です。手軽に摂れる野菜や果物、良質なタンパク質を意識して取り入れ、インスタント食品ばかりに頼らないよう心がけましょう。作り置きや宅配サービスの活用も有効です。
3. パートナーとの連携と役割分担
お母様一人の負担を軽減するためには、パートナーとの協力が不可欠です。
- 具体的な役割分担の話し合い:
- 「夜間の授乳・ミルクを交代で行う」「朝食の準備や上の子の送迎をパートナーが担当する」「週末はどちらかがまとめて寝る時間を作る」など、具体的な行動をリストアップし、実行可能な分担を話し合いましょう。
- 特に、お母様が数時間でも続けて眠れる時間を作ることで、深い睡眠を得やすくなり、心身の回復に大きく寄与します。
- 上の子のケアも視野に入れる:
- 上の子の習い事の送迎や宿題の補助など、日中の負担をパートナーに分担してもらうことで、お母様がより休息を取りやすくなる場面もあります。
4. 心身を労わるセルフケアと専門家への相談
ご自身の心身の変化に気づき、無理のない範囲でケアを行うことも大切です。
- 無理をしない心構え:
- 完璧を目指さず、「今日はここまでで良い」と自分を許す気持ちを持つことが大切です。家事や育児のタスクを全て完璧にこなそうとすると、そのプレッシャーが新たなストレス源となります。
- 短い時間でできるストレス解消法:
- 好きな音楽を聴く、温かいお風呂にゆっくり浸かる、お気に入りの飲み物を飲むなど、短時間でできるご自身なりのストレス解消法を見つけて実践しましょう。
- 専門家への相談も選択肢に:
- もし、何を試しても疲労感が改善しない、気分が落ち込む、食欲がないなどの症状が続く場合は、一人で抱え込まずに、心療内科や精神科、地域の保健センター、睡眠専門医など、専門機関への相談も検討してください。早期の対処が、ご自身の心身を守ることにつながります。
結び
二人目以降の育児における細切れ睡眠は、多くのお母様が経験される避けがたい状況かもしれません。しかし、その中でいかに効率的に心身を回復させるかは、日々の工夫と周囲との連携にかかっています。
完璧を目指すのではなく、ご自身の心身の声に耳を傾け、無理のない範囲でできることから少しずつ試してみてください。お母様が心身ともに健康であることこそが、ご家族皆様の笑顔につながります。本稿が、貴女の「眠れない夜の処方箋」の一助となれば幸いです。